MY craft house とんび我楽多堂  車輌工作日誌

廉価な塗装済み完成模型が手に入らなくなる日

 もうぼちぼちレイアウト製作を再開し4月あたりのプレオープンを目指すつもりでいましたが、昨日から急激に冷え込み今朝は大雪・・・・。情景工作をやるのに向かない天候です。また与太話を・・・・・。



 鉄道模型やトミーテックの鉄コレ・バスコレなど鉄道関連ホビー商品はここ数年の間にどんどん価格が上昇してきています。10年前と比較して2倍~3倍に値上がりしたケースもあります。

 もちろん鉄道模型やトミーテックのジオコレシリーズは販売を重ねるごとにプロポーションの改善やディティール表現の精密化とそれに伴う細かい作り分けが施されるようになり、製造品質も不完全といいつつも序々に向上させてきました。その対価としてみれば価格が上昇するのは当たり前の話ですが、デフレ景気の世の中であったにも関わらず早い値上がりペースだったなと私は思います。



 トミーテックの鉄コレやバスコレはシリーズ開始の10年前はひと箱300円代からスタートしたこともあり、ファンの間でコレクショングッズはひと箱数百円程度という相場認識が出来上がってしまいました。初期のバスコレの場合、バスのドア配置だけ作り分けしてありましたが、他はほとんど金型を共用化しています。それからバスコレはシリーズを重ねるごとに実車にかなり忠実なディティール表現を施し、ロゴや社名表記はもちろんのことバスカードや車椅子マークなどのかなり細かいマーキングももれなく印刷するのが当たり前になってきました。ですのでディティールやマーキングは実車どおり完璧に、塗装仕上げや組立などの製造品質も鉄道模型と同じ水準を求めながらも相場観はひと箱数百円代のままという認識を持つユーザーが多くなっているのです。

 

 よく匿名掲示板や個人のブログ等に「値段が上がったんだからもっと品質をあげてほしい」とか「細かい標記もきちんと再現してほしい」「実車と違うから直してほしい」というコメントをよく見かけます。私も素人では修正が難しい基本プロポーションのことは厳しく指摘しますが、よくよく考えてみたら商品の価格を数百円代のままに抑えて細かい作り分けや塗装などの製造品質は鉄道模型と同じレベルを求めるのは虫が良すぎる話ではないでしょうか。

 あともうひとつ自分が耳にして嫌だなと感じるのが、「○国製だから雑でいい加減」という言葉です。そういう言葉を聞くと言っている人に「あなたは自分自身の手でこの○国製以上に優れた模型ができるのですか?」と訊ねたくなります。

 自分で未塗装のキットを組立て塗装してみたら何時間かかるでしょう?鉄道車輌の塗装はまだマスキングテープで塗り分けできますが、バスのように複雑かつ細かいマーキングを施さないといけないものの場合、デカールやインレタ、ステッカーも自分で作成しなければなりません。一台仕上げるのに膨大な時間がかかり時給換算すると数万円から十数万円になるかと思います。

 我々日本人のユーザーは本来大きな手間やコストがかかる模型をわずか数百円という値段で買い叩いてきたのです。ものすごく強かった円で中国人の頬を叩き、塗装や印刷、組立に神経を使う模型を作らせてきたということを忘れてはなりません。これは白川日銀下での超円高やデフレ経済という異常極まりない経済状態を前提に成り立ってきたことです。



 安倍政権と黒田日銀による金融緩和で超円高から円安基調にシフトし、デフレ脱却へと舵を切りました。KATOのように国内生産にこだわってきたメーカーはともかくとして、海外の工場に商品の生産を委ねてきた他の鉄道模型メーカーやホビー商品メーカーはこれまでのように安い労働力を使って品質を保ちながら価格を抑え込むという経営や生産スタイルが成り立たなくなっていくでしょう。

 塗装済み完成模型製品は残念ながら今後もどんどん価格が上昇し、小中学生はもちろんのこと一般の勤労者にとっても非常に買いにくいものになっていくことかと思います。鉄道模型は模型に数十万とか数百万を湯水のように使える資産家などの有閑階級か、坂本衛氏のようにあり合わせの材料で何でも自分で作ってしまうような人でないと続けられなくなるのではないでしょうか。

 鉄コレもどんどんとTOMIXブランドの鉄道模型商品との差が無くなり、シリーズの存在意味が薄れていくことでしょう。バスコレも完全にシリーズが無くなることはないかも知れませんが、一部の人気車種や人気事業者のセットを定番商品化し再生産を繰り返すだけの状態になっていくかも知れません。これからも5年・10年と今までのように豊富な商品バリエーションを展開してくれるとは限らないのです。

 

 超円高とデフレ経済の下、我々日本の鉄道模型ユーザーは自分自身で工夫し自分自身の手でものを創り上げていくべきことをメーカーや海外の労働者に丸投げし、それを当然と思い込むようになってしまいました。円高とデフレに日本人は甘やかされ”メタボキリギリス”に成り果てたのです。

 円安とインフレに日本経済の潮目が変わったことで「お金さえ出せば何でも手に入る」「やってくれる」という考えが通用しなくなってきます。ほしいものがあったら自分たち自身で知恵を絞り技術を身に付けていかないと何も得られないという時代がいまそこに訪れつつある気がします。
[PR]
by mycraft-tonbi | 2014-02-09 08:28 | 世情
<< 個別性や多様性を再現するにはコ... CADで作成した図面の活用 >>



鉄道・バス模型工作日誌
リンク 乗り換え案内
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
ライフログ
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧