MY craft house とんび我楽多堂  車輌工作日誌

衰弱し続けた日本の国民経済

2014/7/14 レイアウト製作ブログからの転載です。数ヵ月後あたりに起きそうな大きい異変に備えてです。

 最近また雲行きが怪しくなりはじめた経済の話 2回目です。



 先月6月末に総務庁より発表された5月の労働力調査では失業率が前月より0.1ポイント下がり3.5%に、消費者物価は消費増税の影響分2%を除き1.4%増とデフレ脱却の動きが数字に現れかけていました。

 ところが同日に発表された家計調査の方が東日本大震災直後の2011年3月の8.2%下落に次いで対前年同月比7.8%悪化という激しい落ち込みが見られたのです。それからさらに今月10日に内閣府が5月の機械受注は過去最大の減少幅で対前月比19.5%減だったことを公表しました。私の場合携帯電話に流れるニュース欄を見て知ったのですが、一瞬「げっ」と思いました。



 消費税率引き上げは景気に悪い影響を与えると云われますが、消費税が導入された89年と5%に引き上げられた97年で影響の規模や回復力に差が出ています。89年はまだバブル景気の最中で日本経済はイケイケ状態だったため一般消費者も文句は言いつつも消費活動を緩めませんでした。ところが97年のときはバブルが崩壊した後で95年の阪神淡路大震災の傷癒えぬときの税率引き上げでした。このときは景気に大きな悪影響を及ぼし多くの企業を倒産させました。税率引き上げを決めた橋本龍太郎元首相もこのことについて懺悔しています。皮肉にも今回の税率引き上げは東日本大震災から2年後という点で類似していますが、97年のときと比較してもさらにひどい落ち込みであるようです。



 バブル崩壊の90年代以降、日本経済は「失われた10年」いや「失われた20年」「四半世紀」という暗く長いトンネルに突っ込んでしまいました。その間に日本の豊かな中流層の経済力がじりじりと失われ衰弱していったのです。バブル崩壊前までは真面目に一生懸命働いていれば勤めている会社が定年退職の日まで面倒を見てくれ平穏なサラリーマン生活が送れるという牧歌的な時代でしたが、今はそんなことができる企業はどこにもありません。正社員といえど明日をも知れぬ身なのです。

 97年はデフレ時代のまだ入口で多くの中流層が経済的余力を残していたのですが、それからまた十数年デフレ状態漬けにされた日本国民の多くはさらに経済活力を失っています。平成生まれの人たちは好景気やインフレの時代を生まれてから一度も経験していないことになります。ということは豊かさや上昇体験を知らないまま育ってきてしまったことになります。ここが恐ろしいのです。



 例えば小さい頃から親にまともな料理を作ってもらえずジャンクフードばかり与えられた子供がいたとします。

 その子供が大きくなったときにコックさんや板前さんになって美味しい料理を創ることができるでしょうか?またそうなろうという気持ちが生まれるでしょうか?

 味覚が育たず鈍麻になってしまうと極端に甘いものとか脂っこいもの、激辛のものでないと食べたときの充足感が得られなくなります。アメリカ人なんかがそうだと云われます。微かな香りや繊細な味わいを愉しむことができなくなります。そういう人が料理を作ってもやはり大味なものしかできません。

 つまりは幼少期から優れた技術、丁寧な仕事で作り上げたものに多く触れてこないと、その人自身が技術を身に付け優れたものを生み出そうという行動を起こさなくなります。10数年~20年以上にも渡るデフレによって多くの日本の若年層からものに対する情熱や意欲を奪われてしまっているのです。不幸なことに彼らはそれが当たり前になっています。我々日本人が想像している以上に日本の技術力が目減りしていることを警戒すべきでしょう。

 ここでよく引き合いに出しますが日本酒の世界なんかひどいものです。近年地方に存在する様々な藏が繊細な醸造技術で仕込んだ純米酒や吟醸酒が認知されるようになってきましたが、現在でも醸造用アルコールで伸ばした三増酒時代のイメージを引きずっている人は少なからずおられます。彼らは未だに「日本酒なんかどれを呑んでも同じ」とか「日本酒は呑んだら頭が痛くなる」といいます。「悪貨が良貨を駆逐する」じゃないですが、一度広く出回った悪酒のイメージは簡単に覆されず、日本酒需要がシュリンクしてしまったままです。



 長くいろいろ例を出しましたが、あまりの長いデフレ状態のために日本経済活性化の原動力というべき日本人のものづくりへの情熱や技術への憧れが多く失われ、持続的で厚みのある需要を生み出してきた中流世帯の経済力も目減りしてしまっているのです。日本の民間の経済活力は消費税引き上げによる景気への悪影響を跳ね返すだけのバイタリティを89年の頃はもとより97年のときよりも衰えさせてしまっていることを考慮しないといけません。その認識が自民党や一時政権を担った民主党に欠けていると思わざる得ないのが私の見方です。



 今の日本の国民経済は重く慢性化した疾病に悩まされ長い入院生活を送り続けてきた病人と変わりありません。心筋梗塞でぶっ倒れアベノミクスという療法で命を取り留めたのは良いとして、その後負荷テストも行わずいきなり激しい運動をさせたのが今回の消費税率引き上げでした。下手をすればまた経済という心臓が発作を起こしてICUへ逆戻りということにもなりかねません。



手術は上手くいったが術後管理が間違いだらけ・・・・・結局は自民もヤブ医者に過ぎなかったということにならないことを祈ります。
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by mycraft-tonbi | 2014-07-24 04:55 | 世情
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