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MY craft house とんび我楽多堂  車輌工作日誌

未塗装キットと塗装済み完成品のコストパフォーマンス

 今回の話は前回と前々回の話をひっくり返すような内容に思えるかも知れません。

 鉄道模型の未塗装キットと塗装済み完成品のコストパフォーマンス比較です。



 結論をいえば未塗装キットと塗装済み完成品はどちらがユーザーにとって負担するコストに対し得られる満足度や利便性が高いかというのはケースバイケースで違います。

 総じて塗装済み完成品の方が店頭での販売価格が高いというイメージがありますが、未塗装キットも塗料や工具の購入費用に製作でかかる時間や手間のコストを含めるとトータルで割高になってしまうケースが多くあります。塗装済み完成品をそのまま買ってきてすんなり受け入れてしまう方が一番安上がりという場合の方が多いのではないでしょうか?

 鉄道模型の製作でかなり大きな手間がかかるのが塗装やマーキングです。特にKATOが洗練されていると思うのですが、完成品模型メーカーの塗装・印刷工程は機械化や合理化が進んでおり、高品質かつ低コストでその作業を行うことができます。素人が細々とマスキングしてエアブラシで塗装したりパソコンでマークを自作しているより、工業技術を持つメーカーが一括生産した方が効率的に高い品質を得られるのです。

 自分はここで「今の鉄道模型ユーザーは工作をしない~」などとよく書きますが、工業技術を使って大量生産した方が良い結果が得られるところについてはメーカーに任せるべきだと考えています。前回述べた”最大公約数的な要望”にあたる工程は大量生産メーカーが担うべきです。



 先日鉄コレで東武の6050系が発売されました。価格は2輌セットで2000円程度であり3セットばかり購入しようかと思ったところです。

 しかしあるサイトでGMがリニューアルした塗装済み完成品の東武6050系と鉄コレの比較写真を見ました。個人的な感想ですが、GM製品の造形がやはり鉄コレのものより洗練された感じに見えたのです。ただしお値段の方は4輌セットで1万8千円近く・・・・・。正直躊躇します。

 私のことですから一度は鉄コレをブラッシュアップして塗装の塗り直しをすることを考えましたが、鉄コレ・GMともに6050系は客室窓のアルミ枠が車体側にモールドされており、これを烏口で一個一個丹念に色入れしていくことはかなりの手間がかかると見て断念しました。

 GMの6050系は鉄コレの何倍もする価格設定ではありますが、「品質と時間を金で買う」という発想で素直に塗装済み完成品を受け入れた方がコストパフォーマンスが高いと自分は判断したのです。(ホントは塗装済みキットを出していただけると有難いのですが・・・・GMさん。)



 その一方GMは昨年よりEVOシリーズと呼ばれる未塗装キットのリリースも始めました。

 その第一弾が103系低運転台・冷房改造車だったのですが、ご存知のとおり103系の製造輌数は3,447両にも及び長年の製造期間における形態変化や改造、塗装パターンのバリエーションが膨大です。このバリエーションをメーカーが塗装済み完成品として全てフォローするのは不可能でしょう。ユーザーの要望の個別性や多様性が極めて高く広い形式のひとつです。

 多くのユーザーが持つ要望の共通項をまとめたひとつのベース車としてGMが未塗装キットを出し、個別性や多様性の表現はユーザーに委ねるというのがこのEVOシリーズの狙いであるかと思われます。



 共通性と個別性の振り分けを巧みに行って、ユーザーにコストパフォーマンスの高い商品を提供し続けていくというGMの考え方は興味深いものがあります。
by mycraft-tonbi | 2014-02-10 12:33 | 雑記
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